東日本大震災にともなう電力不足や部材調達難により、電機各社による液晶パネル生産の停滞が長期化しそうだ。政府が夏場に電力使用制限令を発動する見通しのため、各社は東北や関東地区での生産を西日本の拠点で代替するほか、海外企業への生産委託拡大で乗り切る方針。ただ、液晶事業は各社とも韓国・台湾勢との激しい価格競争でもともと疲弊している。減産の長期化が、撤退や業界再編を含む戦略の大幅な見直しにつながる可能性も出てきた。 続きを読む »
震災発生から1カ月が経過し、被災した工場も一部で復旧している。しかし、クリーンルームを必要とする製造装置は停電のダメージも大きく全面再開にはほど遠い。
中小型の液晶パネルを生産する東芝系の東芝モバイルディスプレイ(埼玉県深谷市)は先月28日に操業を一部再開したが、震災前の生産水準には大きく及ばない。「復旧作業に注力する」(担当者)とするが、一部製品の代替生産を同社の石川工場(石川県川北町)で始めた。
液晶テレビ用パネルを生産するパナソニック系のパナソニック液晶ディスプレイ(千葉県茂原市)は姫路工場(兵庫県姫路市)での増産分で、従来の供給量を「維持したい」方針。とはいえ、「姫路で生産していない26型などのサイズを長期的にどう補うのか」(ディスプレイサーチの田村喜男シニアアナリスト)など課題が残る。