友達光電(AUO)の李焜耀董事長が仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理を訪問して提携強化を打診したことが、陳総経理によって25日明らかにされた。鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の群創光電(イノルックス・ディスプレイ)が奇美電子(CMO)の合併を決め、台湾パネル業界首位の座を奪われる見通しになったことを受けて、コンパルが第2株主(出資比率16.9%)となっている中堅パネルメーカー、中華映管(CPT)を自陣営に引き入れること狙った動きという観測が出ている。26日付蘋果日報などが報じた。
陳総経理は李董事長の訪問について「パネル産業はグループ間競争の時代に入り、メーカー同士の提携強化は不可避の情勢だ」と指摘した。李董事長と協議した提携強化の細かい内容については結論は出なかったと説明した。 中華映管は大同集団が筆頭株主であるものの、李董事長が2位株主のコンパルを訪問した理由については、林蔚山・大同董事長に中華映管をめぐる十分な決定権がないこと、およびコンパルはノートパソコン、液晶テレビを生産しており、株主としての重要性が大同を上回っているためとみられる。
ただ、市場調査機関アイサプライ(iSuppli)の呉金栄シニアアドバイザーは、中華映管の生産ラインの価値は高いと言えず、AUOが中華映管を合併しても統合効果は低いと指摘した。そして「AUOは中国メーカーを合併してこそ韓国メーカーに対抗できる」とした。
なお、仁宝集団傘下の統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)は群創との合併が決まっており、同集団は「新奇美」の株主となる。陳総経理は「コンパルはいかなる提携も排除しない」と語っており、中華映管をめぐって友達集団と鴻海集団の綱引きが激化する可能性がある。
26日付経済日報によると、AUOは中国市場での液晶テレビとノートPCの需要が旺盛なことから、来年第1四半期に予定していた5~10%の減産計画を取りやめ、フル稼働生産を続けることを決めた。 パネル業者によると、AUOの2基の7.5世代工場は、ほぼ42インチ液晶テレビ用パネルの生産に充てられている状態だ。なお、友達は最近受注を大幅に増やしており、ノートPCや液晶テレビの受託生産メーカーが鴻海集団への対抗を念頭に発注をAUOに振り向けているのか関心が持たれる。李AUO董事長は最近業界で「反鴻海総司令官」と呼ばれ始めているという。
パネル市場の来年の動向については、ディスプレイサーチの謝勤益副総裁が、「AUOが第1四半期に受注満杯となれば、年間を通じて供給がひっ迫する可能性がある。第2四半期から供給不足状態が始まる」という見方を示している。