映像が立体的に見える「3D(3次元)ステレオ」技術に大きな関心が集まっている。ソニーやパナソニックが3D対応のテレビを発表したのに呼応するかのように、北米でも様々な3D技術が登場し始めた。新技術の開発現場をカナダに追った。

「どうですか。立体的に見えるでしょう」。カナダのトロント市内に本社を置く画像技術会社のスペイシャルビュー社。3D製品の開発責任者を務めるイホア・ペトリッキー氏が差し出したのは、画面の表面に特殊なレンズをかぶせた「iPhone(アイフォーン)」だ。特別な眼鏡をかけなくても、映像が飛び出して見えるのが特徴で、「これを使えば、ゲームソフトも3Dの立体画像で楽しく遊べます」と自慢の新製品を紹介する。

「3DeeShell(スリーディーシェル)」と名付けた新製品の値段は49米ドル。特殊なレンズとアイフォーン向けのアプリケーションソフトがセットになっており、光学技術とソフトウエア技術により3Dの立体画像を実現した。アイフォーン利用者向けに雑誌などで発表すると、またたく間に世界中から注文が相次いだ。「北米では映画館の3D化が進んでおり、家庭のテレビや携帯電話でも3D映像を楽しみたいというニーズが急速に高まっている」とペトリッキー氏は言う。

さらに秀逸なのがアイフォーンで3Dの立体画像を撮影できるアプリケーションソフト「3DeeCamera(スリーディーカメラ)」だ。日本でも富士フイルムが写真や動画を3Dで撮影できる2眼式のデジタルカメラを発売しているが、スペイシャルビュー社の製品は通常のアイフォーンのカメラでソフトウエア的に立体画像を撮影できるようにした。ペトリッキー氏は「3Dの技術開発はまだまだ始まったばかり。しかし映像のHD(高画質)化が進んだように、いずれは皆、3Dになっていくに違いない」と強い期待を向ける。
インターネット広告の世界に3Dやインタラクティブ(双方向)な体験を導入しようとしているのが、カナダの首都オタワに本社を構えるフューエル・インダストリーズ社だ。「フューエル」は英語で「燃料」を表すが、ゲームやネットの世界にもそうした「熱い感覚」を持ち込もうとしている。


続きを読む »