(7より続く)
有機ELの素材分野では,日本メーカーが競って研究開発・供給体制を整えています。ただ無視できないのは多くの基本特許を持っている海外企業の動向なのです。
アメリカのUDC(Universal Display Corporation)は,新日鉄化学,出光興産やソニー,サムソンSDIなどにも技術を提供している有機ELの開発ベンチャー企業。
研究で密接な関係にあるプリンストン大学に近いニュージャージー州ユーイングの本社には研究者が終結しています。
特に強みを持つのが発光材料の「リン光」タイプ。現在主流の「蛍光」タイプの発光材料に比べて発光効率は4倍。
次の本命として各社が開発を急ぐ中,UDCの技術は欠かせないと見ています。
発光材料は発光するドーパントと発光を助ける「ホスト」の組み合わせが基本。新日鉄化学の下浦康弘有機EL開発部長は「UDCはリン光のドーパントでは多くの特許を持つ。当社はホストの開発を分担し優れた材料を開発したい」と話します。
UDCは有機EL関連の特許を,申請中を含め約800件保有。普段は透明で画像を映す際は表裏両側から見える{TOLED」,薄くて折り曲げが可能な「FOLED」技術も持つのです。
まだ利益を安定して出せる体質ではないが,「リン光技術の商用利用は飛躍的に伸びている」とシドニー・ローゼンブラットCFOは話しています。
そしてとても興味深い訪問レポートがGIZMODに載っていました。”Exclusive: The Secret Sauce That Goes Into an OLED High Def TV”と銘打ってUDCの会社そして実験室を訪問した記事が掲載されているのです。比較的簡単な英語でユーモア溢れていますので有機ELの勉強に是非読んでみてください。
「一体となって開発を加速しましょう」「勿論です」。10月初旬,英国を代表する名門大学に近いケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー(CDT)を訪ねた住友化学の米倉弘昌社長に,デビッド・ファイフCEOらが応じた。
住友化学は9月,この分野での有力ベンチャーであるCDTを完全子会社化。2008年度中の事業化を目指している素材事業で,研究開発を加速させる切り札にしようとしているのです。
CDTはケンブリッジ大学カベンディシュ研究所の研究者が設立。分子量が多くパネルの大型化に向く「高分子」タイプの発光材料・デバイスの研究では世界の先頭を走っているとされています。凸版印刷やセイコーエプソンなどとも協力,業界全体の有機EL開発に貢献してきました。
住友化学は01年から一部出資などでCDTと関係を築いてきた。一気に取り込んだことで「高分子の技術開発のリーダー企業の地位を確立できる」と米倉社長は強調。CDTとの他社との共同開発も継続するとしています。
日本の各社は基礎的な考え方を含め有力特許を押さえるUDCやCDTなどと連携。自社の分子設計や精密合成,量産のノウハウをつぎ込んで事業化につなげることを目指しています。
このほか有機ELの先駆者であるイーストマン・コダックが特許をすでに1800以上保有し,さらに数千件を申請中。デバイス・材料開発で無視できない存在であるほか,化学大手のデュポンも高分子系材料を使用した有機ELディスプレイの大量生産方式の開発に取組んでいます。
「(商業化の)最終段階」(デュポン)にあり,実用化できればまずは携帯電話向けディスプレイ,最終的にはテレビ市場への参入を目指す。次世代薄型ディスプレイの開発競争は,化学業界を巻き込んでさらに続きそうです。
[とりあえず今回の特集,完: 随時新情報をUPしていきます]
有機ELの素材分野では,日本メーカーが競って研究開発・供給体制を整えています。ただ無視できないのは多くの基本特許を持っている海外企業の動向なのです。
アメリカのUDC(Universal Display Corporation)は,新日鉄化学,出光興産やソニー,サムソンSDIなどにも技術を提供している有機ELの開発ベンチャー企業。
研究で密接な関係にあるプリンストン大学に近いニュージャージー州ユーイングの本社には研究者が終結しています。
特に強みを持つのが発光材料の「リン光」タイプ。現在主流の「蛍光」タイプの発光材料に比べて発光効率は4倍。
次の本命として各社が開発を急ぐ中,UDCの技術は欠かせないと見ています。
発光材料は発光するドーパントと発光を助ける「ホスト」の組み合わせが基本。新日鉄化学の下浦康弘有機EL開発部長は「UDCはリン光のドーパントでは多くの特許を持つ。当社はホストの開発を分担し優れた材料を開発したい」と話します。
UDCは有機EL関連の特許を,申請中を含め約800件保有。普段は透明で画像を映す際は表裏両側から見える{TOLED」,薄くて折り曲げが可能な「FOLED」技術も持つのです。
まだ利益を安定して出せる体質ではないが,「リン光技術の商用利用は飛躍的に伸びている」とシドニー・ローゼンブラットCFOは話しています。
そしてとても興味深い訪問レポートがGIZMODに載っていました。”Exclusive: The Secret Sauce That Goes Into an OLED High Def TV”と銘打ってUDCの会社そして実験室を訪問した記事が掲載されているのです。比較的簡単な英語でユーモア溢れていますので有機ELの勉強に是非読んでみてください。
「一体となって開発を加速しましょう」「勿論です」。10月初旬,英国を代表する名門大学に近いケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー(CDT)を訪ねた住友化学の米倉弘昌社長に,デビッド・ファイフCEOらが応じた。
住友化学は9月,この分野での有力ベンチャーであるCDTを完全子会社化。2008年度中の事業化を目指している素材事業で,研究開発を加速させる切り札にしようとしているのです。
CDTはケンブリッジ大学カベンディシュ研究所の研究者が設立。分子量が多くパネルの大型化に向く「高分子」タイプの発光材料・デバイスの研究では世界の先頭を走っているとされています。凸版印刷やセイコーエプソンなどとも協力,業界全体の有機EL開発に貢献してきました。
住友化学は01年から一部出資などでCDTと関係を築いてきた。一気に取り込んだことで「高分子の技術開発のリーダー企業の地位を確立できる」と米倉社長は強調。CDTとの他社との共同開発も継続するとしています。
日本の各社は基礎的な考え方を含め有力特許を押さえるUDCやCDTなどと連携。自社の分子設計や精密合成,量産のノウハウをつぎ込んで事業化につなげることを目指しています。
このほか有機ELの先駆者であるイーストマン・コダックが特許をすでに1800以上保有し,さらに数千件を申請中。デバイス・材料開発で無視できない存在であるほか,化学大手のデュポンも高分子系材料を使用した有機ELディスプレイの大量生産方式の開発に取組んでいます。
「(商業化の)最終段階」(デュポン)にあり,実用化できればまずは携帯電話向けディスプレイ,最終的にはテレビ市場への参入を目指す。次世代薄型ディスプレイの開発競争は,化学業界を巻き込んでさらに続きそうです。
[とりあえず今回の特集,完: 随時新情報をUPしていきます]