PDP
PDPモジュールの生産が減少傾向に転じたのは、
2012年も前年からの傾向は引き続く見通しであり、YOY-
2012年以降、
プラズマテレビが岐路に立たされている。プラズマテレビ世界トップのパナソニックが生産体制の大幅縮小を表明したことで、同社からパネル提供を受ける日立製作所やライバルの韓国勢への影響も避けられない。最盛期には多くの国内メーカーが開発競争に明け暮れたが、その後撤退が相次いだ。液晶テレビに主役を奪われたプラズマテレビが家庭から姿を消す日がやってくるのか。
「プラズマテレビの技術的優位性は今でも揺らいでいない。ただ、液晶の技術革新があまりにすごかった…」
かつてプラズマテレビの製品設計にかかわったメーカー関係者は、液晶テレビとの主導権争いに“完敗”したことを認め、こう嘆息する。
プラズマテレビは、液晶テレビのようにバックライトを使わない「自発光方式」で、暗い環境での黒の表現力が優れているのが特徴だ。
国内では、1996年に富士通からパネル供給を受けた富士通ゼネラルが世界で初めて42型の家庭用プラズマテレビを発売し、NEC、パイオニアなども製品化した。当時は42型以上の大型に特化しており、小型を展開する液晶との差別化が期待された。
パイオニアの50型プラズマテレビは250万円と強気な価格設定でも、AV(映像・音響)愛好家などに受け入れられた。
2000年代に入り、プラズマの開発競争はさらに激化する。パナソニック、東芝、日立製作所などが相次いで参入し、02年のサッカーW杯日韓大会で大型テレビの需要が高まったことも追い風となった。関係者は「毎年数十億円をかけて新しいプラズマパネルを製品化していた」と当時を振り返る。
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3年連続、
パナソニックは“家電の王様”
しかしこの秋、
ある社内資料には、お家芸であるテレビにこだわらず、
家電量販店を飾る華やかな“顔”でなくても、
一方、コスト面の過酷なハードルも記されている。
マーケット別に見ると、北米市場は引き続きPDPTVの価格競争力が優位である可能性が高い。LCDTV/LEDTVも大幅に価格を下げつつあるが、PDPTVはHDスペックの製品から3D機能を搭載する動きがあり、相対的な値頃感を打ち出すことが可能と見られる。
また、日本市場では、地上アナログ放送の停波とエコポイント特需によりLCDTVがYOY+50%以上の高い伸びを示したのに対し、PDPTVはYOY+15%程度の伸びに止まった。2011年はのTV需要の大幅な反動減が危惧される状況にあるが、特需効果が少なかったPDPTV需要は反動減のリスクも小さいと見られる。
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同年Q3にかけては、韓国勢はQOQ+5~7%、パナソニックがQOQ+15%のペースで増産、市場全体ではQOQ+11%の伸びになると見込まれる。
PDPTVが好調である要因は、① PDPTVの割安感(42"HD PDPTVが32"FHDLCDTVと、50”HD PDPTVが42"FHD LCDTVと同等)、② 2010年Q2にLEDTV(LEDバックライト搭載のLCDTV)の部材不足と高止まり、③ LEDTVの投入により、CCFLTV(CCFLバックライト搭載のLCDTV)の製品ポジションが下がり、3DTVなど新機能を搭載したPDPTVのポジションニングが相対的に向上した点などが上げられている。
2010年のメーカー別のPDPモジュール生産は、パナソニックが約750万台、Samsung SDIが650万台、LG Electronicsが450万台、COCは50万台程度が見込まれる。
ただし、パナソニックはQ3がピークでQ4は調整基調、LG Electronicsも自社PDPTVの生産計画がQ3ピークであることから、Q4は減産が見込まれる。
一方、SamsungSDIはSamsung Electronics VDが強気なPDPTV生産を計画していることから、Q4にかけてもほぼフル稼働を計画している模様である。
現状の生産計画を維持した場合、2010年のPDPモジュール生産は、1900万台近くに達することとなる。しかし、2010年下期に入り、LCDTVは在庫超過傾向にあり、大型TFT液晶は生産ラインの稼動調整が始まっている。LCDパネルの供給価格は下落傾向にあり、LCDTVセットの価格値下げが強まると予測されている。
現在、TV市場において価格優位性を持つPDPTVであるが、LCDTVの値下げにより、販売価格もしくは販売数量に影響が出ると危惧される。PDPモジュールメーカー側は、2011年には15~20%の値下げを想定しているが、LCDTVの価格次第では、更なる調整が求められる可能性がある。
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- ハイエンドTVの販売開始でLCD TVの差別化ポイントが減少
- 親環境/低消費電力化でLCD TVの輝度が低下、これに対しPDPは効率改善で輝度差が縮小
- 一時期のLCDパネル供給不足でPDPが台頭、LCDに比べ低価格で消費者にアピール
- 今後、50インチクラスの大型TVと3D TV市場で競争力の維持が可能に
調査会社Displaybankが、レポート「月間PDPモジュール出荷データ」の最新版をまとめ、2010年7月のPDPモジュール出荷枚数は前月比5%増の178万枚、金額(売上)ベースでは同4%増の5億2,000万ドルになったと発表した。
2010年に入り、PDPモジュールの出荷枚数は毎月増加傾向を維持している。
拡大が続くPDP TVの勢いの要因としては、大きく3つ挙げることができる。
まずは、CCFLバックライト・ユニット(BLU)搭載のLCD TVが、LED BLU搭載モデルや3D対応モデルなどの登場で、デザインや価格などPDPに対する差別化ポイントが減少したことである。
次に、親環境/低消費電力化の流れにより、平均的なLCD TVの輝度が550cd/m2から450cd/m2レベルに低下し、店頭でもLCD TVとPDP TVを見分けることができないほど輝度差が縮小。
さらに、2009年下期から2010年上期におけるLCDパネル供給不足の時期にPDPが台頭し、その後もPDPの価格は継続的に下落したことに対し、LCDパネルは相対的に価格下落幅が小さかったため、両者の価格差は徐々に拡大した。
こうしたモジュール価格の差がTVセットの価格に反映され、PDPとLCDの競合モデルの価格レベルが広がり、PDP TVは価格競争力をベースに強く消費者にアピールすることに成功したとみられる。
今後は、最近のTV市場の販売不振とLCDパネルの在庫レベル上昇により、LCDの値下がりも本格化し、下期はPDPへの価格下落の圧力も強くなる見通しである。
しかし、2010年に入り黒字化しているPDPは、LCDの値下げに対抗する余力があり、また、大型モジュールを減価償却が終了したラインで生産できるため、価格競争力を維持できるものと分析される。
この他、Displaybankでは、PDP TVは拡大している50インチクラスの市場とともに、2011年から本格的に3D TVに力を入れることで、大型サイズの3D TVとしてLCD TVに対して十分な競争力を確保することができると考えている。
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例年Q1はQOQ7~8%程度のマイナスとなる傾向があるが、① TV全体の需要が好調であったこと、② 樹脂材料を中心とした部材不足などがあり、大型サイズのLCDTV、特にLEDTVが予定通りに拡大できなかったこと、③ PDPTVのプライスポイントがリーズナブルであったこと、などからPDPTV需要は順調に推移した。
PDPTVの小売価格帯は、2010年Q2時点で42”XGAが500ドル前後、50”WXGAが700ドル前後、50”FHDが1,000ドル前後となっている。同価格帯のLCDTVの小売価格と比較すると、500ドル前後は32“FHD、700ドル前後は40”FHD、1000ドル前後は46”FHDが主要なスクリーンスペックとなっている。42“XGAと50”WXGAのPDPTVは、それぞれの価格帯でスクリーンサイズに対して値ごろ感を
発揮したと言える。
Q2にかけても同様の傾向が続いており、現状のペースが維持されるとPDPモジュールの生産は年間で1,900万台に達する見込みとなっている。ただし、未だHDグレードの廉価性に依存する傾向があり、FHDの比率が思うように上がらない状況にある。FHDグレードの比率を引き上げ、 3Dモデルの投入を機にプレミアム化を進めることが課題となってくる。また、下半期にかけてはLCDの価格が軟化する可能性があることから、PDPTVメーカーはカラーTV全体の需給状況に注意を払う必要がある。