中部科学工業園区(中科)第4期二林園区(彰化県二林鎮)開発計画に11日、開発許可を取り消す判決が台北高等行政法院(行政裁判所)より下された。開発が遅々として進まない中、環境問題を考慮して今年8月に光電産業から精密機械産業に主軸を変更し、鴻海科技集団(フォックスコン)などの興味を引き出したばかり。行政院国家科学委員会(国科会)は上告する意向だが、実際に開発中止となれば500億台湾元(約1,300億円)以上と見込む投資計画が頓挫する。12日付経済日報などが報じた。
 開発許可の取り消しは二林鎮住民が求めていたもので、台湾の科学園区に対する判決としては初のケースだ。

 台北高等行政法院は、二林鎮は地盤が沈下しているため、科学園区として開発を行うべきでなく、しかも16.47キロメートルしか離れていない彰浜工業区に利用されていない用地が1,246ヘクタールあるため、二林園区開発は国有地の利用、予算520億6,000万元ともに国家資源の浪費だと指摘した。その上で、実際に工場を着工した企業はまだ1社しかなく、国科会が投じた111億元余りのうち用地徴収に充てた74.32%、約83億元は取り戻せるため、開発を取り消しても影響は軽微だと説明した。




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二林園区の開発を担当する国科会は同日、開発と環境保護を両立させるため、用水量が8割減る精密機械園区への転換プランを立てたのに、非常に不可解な判決だと批判した。

 楊文科・中科管理局長は、判決は企業誘致に影響しないと強調。進出1社目、医療用品などの愛民衛材(アイミン・サニタリー・マテリアルズ)が新工場を年末に完工させ、稼働する予定だと語った。

 中科管理局が認可した新光集団の新科光電材料(新光マテリアルズ・テクノロジー、SHINPEX)など残り3社はまだ進出していない。認可された投資額は4社合計で28億5,000万元。

 二林園区は、郭台銘・鴻海董事長が自ら視察して関心があると表明したほか、精密機械最大手、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)が先日、投資を行う可能性を示唆していた。高峰工業(kafo)や和大工業(HOTAインダストリアル)も投資意欲を表明していた。

 先日の企業誘致説明会に出席した程泰機械(グッドウェイ・マシーン)など100社以上に、新科光電、鴻海、ハイウィンなどを合わせ、投資規模は500億元以上に上ると見込まれていた。

 二林園区は早ければ今年末から来年初めにかけて行政院環境保護署(環保署)の環境影響評価(環境アセスメント)が審査を通過し、来年上半期に正式に始動する予定だった。