アップルが米国時間12日に発表した新型スマートフォン「iPhone5」は、台湾で11月にも最低2万1,900台湾元(約5万7,500円)で発売される見通しだ。大和証券は組み立ての鴻海精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)、デジタルカメラ用レンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)が恩恵を受けると予測。メモリーやタッチパネルでサムスン電子の部品調達が明らかに減ったと指摘した。13日付蘋果日報などが報じた。
iPhone5は21日、日米、香港など9カ国・地域で199~399米ドルで発売される。台湾の通信キャリア大手3社、中華電信、台湾大哥大(タイワン・モバイル)、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)は12日、発売時期は通知されていないが、これまでの傾向から早くて2カ月後の11月中旬~下旬との見方を示した。
大和証券の陳慧明・アジア太平洋科学技術産業研究部主管は、iPhone5のサプライチェーンが8月下旬に量産を開始しており、第3四半期の出荷台数は1,000万台と予測した。タッチパネルの歩留まり率が改善すれば、10月以降は月1,000万~1,400万台に引き上げることができ、第4四半期出荷台数は最大3,500万と見込む。これに旧機種iPhone4、iPhone4Sを合わせれば、第4四半期出荷台数は5,000万台に達するとの見方だ。
サプライチェーンのうち、鴻海は組み立ての主力で、子会社の鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)が筺体(きょうたい)を受注している。デジカメ用レンズはラーガンのほか、玉晶光電(ジニアス・エレクトリック・オプティカル)、鴻海傘下の三営超精密が供給。鴻海傘下の正イ精密工業(フォックスリンク、イは山の下に威)がコネクタ、線材の受注を獲得した。フォックスリンクは、傘下の晶実科技がアップル製品正規販売代理店「Studio A」を香港でも展開し、同じく傘下の勁永国際(パワー・クオシェント・インターナショナル、PQI)が香港の専売店、中旋を7月に買収している。鴻海グループが最も恩恵を受けるのは確実だ。
一方、プロセッサーはすべてサムスン製だが、DRAMはサムスン、SKハイニックス、エルピーダメモリが受注を分け合った。フラッシュメモリ、タッチパネルはサムスン製が全く入っていない。陳主管は、サムスン外しの意図が明らかだと指摘した。
「最も薄く、最も軽い」をうたったiPhone5は厚さ7.6ミリメートル、重量112グラム。新「A6」プロセッサを搭載し、人工知能を使った音声ガイド機能「Siri(シリ)」は中国語だけでなく台湾語も2文だけ話すようになり、鳥瞰(ちょうかん)3Dビューなどアップル独自の地図サービスも利用できるようになった。画面は、4インチのRetina(レティナ)ディスプレイを採用し、これまでの3.5インチより大きくなった。背面カメラは800万画素で変わりないが、パノラマ機能が加わった。高速無線規格「LTE」にも対応した。陳主管は、ソフト、ハード面、外観ともにiPhone4Sからのフルモデルチェンジと言え、購買意欲を刺激すると指摘した。
ある並行輸入業者は、2カ月前からiPhone4Sの買い取りが増え、中古価格は現在1万元あまりだが、iPhone5発売でさらに1,000元安くなるとの予測を示した。携帯電話販売業者は、現在2万元で売られているiPhone4Sの16GB(ギガバイト)版は価格が3,000元下落するとみている。
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