シャープは8日、資本・業務提携で合意している台湾の鴻海精密工業と中国市場向けスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)での生産でも協業することを発表した。
すでに提携を打ち出している液晶パネル事業では、鴻海が堺工場(大阪府堺市)から大型液晶パネルを引き取り始める時期を当初の10―12月期から7―9月期に前倒しし、在庫の圧縮を急ぐ。
奥田隆司社長は同日都内で開いた経営戦略説明会で、「コモディティ化したデジタル商品分野では圧倒的な生産規模が必要で、もはや技術だけでは勝てない」とし、電子機器受託製造(EMS)世界最大手である鴻海との提携効果に期待を寄せた。同分野でも「決して逃げるのではなく、積極果敢に攻め、事業拡大を図る」と強調、急成長が見込まれる中国で「共通のプラットフォーム、共通の工場、調達力を生かした競争力ある複数モデルを複数キャリアに13年度から導入する計画」と述べた。シャープブランドで鴻海製のスマホを展開する予定。
<堺の稼働率は7―9月期以降90%に>
また奥田社長は、鴻海によるパネル引き取り開始時期の前倒しにより、堺工場の稼働率が7―9月期以降は「90%程度」に回復するとの見通しを示した。テレビ用液晶パネルの需要低迷で、堺工場は棚卸資産圧縮のため4月から生産調整に入っており、現在の稼働率は50%を大幅に下回っている。
奥田社長は、両社が稼働率を早期に改善するとの問題意識で一致したほか、鴻海の有力顧客である多くのテレビメーカーがクリスマス商戦を見据えて7―9月までの商談を詰めていることもあり、前倒しにつながったと説明。鴻海との提携効果により、12年3月末に月商の約5カ月分あった堺工場の液晶パネル在庫は13年3月末には2カ月以下の適正水準にまで減らしたいとしている。
鴻海からの出資については、5月末までに各国への申請が完了し、「現在は払い込みに向けた最終段階にある」とし、「行政手続きが終了次第、払い込まれる予定」と説明した。また、堺工場の運営会社シャープディスプレイプロダクト(SDP)の株式上場については「両社で協議を進めている」と明かし、時期は具体化していないものの、「上場は良いこと」、「積極的に考えている」と語った。
シャープは3月27日、鴻海グループが事実上の筆頭株主になることを発表。堺工場の運営会社SDPはソニーとの合弁を解消する一方で、鴻海董事長の郭台銘(テリー・ゴウ)氏から出資を受け入れ、大日本印刷と凸版印刷に新株を割り当てる。これによりSDPの持ち株比率は、シャープとゴウ氏がそれぞれ37.61%になる見通し。今後の鴻海グループによるシャープへの出資比率について「現時点では変えていく考えはない」と語った。 奥田社長は、大型液晶事業の切り離しや第三者割当増資、在庫の適正化や固定資産の圧縮などを通じて計4000億円の財務改善を実施する方針を明らかにした。大型液晶事業本部をシャープ本体から切り離し、約1300人を新SDPに移す。12年3月期の連結純損益は3760億円の赤字で、「大半が大型液晶事業に起因しており、同事業の切り離しで経営を安定化させる」という。3月末で1.1兆円規模ある有利子負債は、9月末には8000億円水準に抑えるとしている。
このほか、海外売上比率を11年度の50%から中期的に70%程度に引き上げることを目指すとした。今後の重点事業である健康環境、ビジネス機器、モバイル液晶事業、ソーラー事業の売り上げ構成比も11年度の40%から中期的には60%に高める方針。







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