液晶パネル大手2社の奇美電子(チーメイ・イノラックス)と友達光電(AUO)が、付加価値の高い新製品の開発を加速している。4K2K(4,000×2,000ピクセル前後)の高解像度パネルや新サイズの製品を相次ぎ打ち出し、製品単価の引き上げと赤字縮小を狙う。サムスンディスプレーなど韓国メーカーの攻勢に対抗する意図もあるようだ。
30日付電子時報によると、友達はすでに55インチの4K2Kパネルの量産を開始。裸眼3D使用で東芝に供給することも決めている。近くOxide(酸化物)TFT技術を応用した65インチの製品も打ち出す予定という。
奇美は近く医療機器向けに、56インチ4K2Kパネルの量産を始める計画。将来は中国のテレビ大手向けに、50インチと65インチの製品を量産する計画も進めている。
業界関係者は「スマートフォンやタブレット端末に対し高解像度を求める風潮が、液晶テレビにも広がりつつある」と分析。今後の展開に期待を寄せている。
サムスン電子とLGは下半期に、自前の55インチAMOLED(アクティブマトリックス式有機EL)パネルを搭載した大型液晶テレビを発売する計画。早ければ7月末にも、ロンドン五輪開催に合わせて市場投入するとみられている。AMOLEDパネルの量産で先行する韓国勢に、台湾勢は4K2Kパネルで対抗する方針のようだ。
このほか粗利率が高い39インチ、50インチなどの新サイズにも力を入れる。奇美は下半期に第5.5世代の生産ラインで、55~60インチの中間を狙った58インチパネルの量産を始める予定。中国や日本のメーカーからの受注を見込む。
■自動販売機市場に参入
友達は29日、50インチの透過型液晶パネルが、液晶モジュールなど製造の豊芸電子(プロメート)が開発した自動販売機に採用されたと発表した。年3,000万台規模とされる自動販売機市場への進出を狙う。
豊芸電子は電子部品の販売や液晶モジュール関連製品の開発、製造を手がけている。50インチの透過型液晶パネルを使った自動販売機は世界で初めてという。ドラッグストアチェーンの屈臣氏(ワトソンズ)や3C(コンシューマエレクトロニクス、コミュニケーション、コンピューター)販売店で、保健用品や生活用品、電子機器の販売に使用する予定。
友達は透過型液晶パネルについて、自動販売機のほか建築物、自動車用ガラス、家電製品などでの応用も見込めるとしている。
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