シャープは27日、電子機器受託生産で世界最大手の台湾企業、鴻海精密工業と資本業務提携を結んだと発表した。不振の液晶事業のてこ入れが狙い。シャープが実施する約670億円の第三者割当増資を鴻海とグループ会社の計4社が引き受ける。鴻海グループの出資比率は約10%となり、シャープの筆頭株主になる。
テレビ用大型液晶パネルの堺工場(堺市)を運営するシャープ子会社の株式の約46%を、鴻海側に譲渡。堺工場を共同運営し、最終的には生産するパネルの半数を鴻海が引き取る。テレビの需要減少で稼働率が低下している堺工場の操業を安定させる。
堺工場は、鴻海との共同で「ワンカンパニー」として運営する。鴻海は堺工場で生産されたパネルの最大50%を引き取って操業の安定化を図る。テレビ用液晶パネルの需要低迷で、堺工場は今年に入って操業率を50%まで落としている。稼働率引き上げが課題になっていたが、鴻海が引き受けることで課題が解決する。早ければ2012年度から引き取りを開始する予定。シャープは割当先から取締役を受け入れる予定はないという。
シャープは、第三者割当増資も堺工場の株譲渡も、独禁法を含めた手続きを考慮した上で、今年5月31日から来年3月26日までに実施する。シャープは、合計1329億円の資金を調達するが、モバイル関連の中小型液晶の設備増強や、新規分野に充てるという。
都内で記者会見した奥田隆司次期社長は「鴻海が液晶パネルの半分を引き取るので堺工場の減損リスクはない」と述べた。一方で、鴻海は傘下に、液晶パネル会社の奇美電子(チーメイ・イノラックス)を持っており、シャープと競合関係にある。堺工場の運営は共同で行うが奇美との競合関係は継続する。鴻海グループへの技術流出について奥田次期社長は「特許はシャープが保有するので心配ない」と述べた。
シャープ次期社長の奥田隆司常務執行役員が都内で記者会見した。主なやり取りは以下の通り。
「研究開発から生産、販売まですべて自前で手掛ける単独の垂直統合モデルには限界があった。鴻海グループが持つ高い生産・加工技術力とコスト競争力を融合し、両社の強みを生かしたグローバルでの垂直統合モデルを一緒に作り上げる。魅力的な商品やデバイスを機動的に提供でき、シャープの弱点を補える」
――堺工場からの液晶パネル供給はいつ始まるのか。
「今年10月の供給開始を目指している。堺工場で生産したパネルの半分を鴻海グループが引き取ることで合意している。今回の提携で堺工場は稼働率を維持できる。主要部材の調達で規模のメリットを生かし、コスト削減につなげたい」
――鴻海グループは液晶パネルの奇美電子(CMI)を持っている。
「シャープとCMIは別々に事業運営する。ただ、将来は総合的な業務拡大も考えられる」
――海外で液晶パネルの生産から撤退・縮小する可能性は。
「基本的に自社の工場を廃止・縮小することは考えていない」
――提携でテレビ事業は立ち直れるのか。







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