パソコン(PC)大手の聯想集団(レノボ、北京市)が、インターネットテレビ市場に参入する。レノボはメディア大手の上海東方伝媒集団(SMG)の傘下会社と共同出資会社を設立、年内にも「レノボ」ブランドによるインターネットテレビの放送を開始する。同市場が有望とみて、レノボは今後、同分野に数千万元規模の投資を行い、市場開拓を進める計画だ。

中国各紙が伝えた。レノボはこのほど、上海広播電視台、SMGと戦略提携を締結した。レノボは傘下会社の聯想(北京)を通じて、SMG傘下の新興メディア企業、百視通と共同出資会社の視雲網絡科技を上海市に設立する。出資総額は1,000万米ドル(約8億円)で、出資比率はレノボが49%、百視通が51%となる。

インターネットテレビのハード生産はレノボが担当、コンテンツは視雲網絡科技が提供する。レノボの関係者によると、レノボブランドによるインターネットテレビは年内にも各種PCや携帯電話などを通じて放送を始める予定。視雲網絡科技は3年内の黒字化を目指す。

レノボによるインターネットテレビ市場への進出は、市場の巨大な潜在力が背景にある。レノボの楊元慶CEO(最高経営責任者)によると、現在国内でインターネットテレビを視聴する家庭の数は3,000万戸超。年間成長率は50%を維持して推移しており、今後も伸びしろは大きいという。

一方、同市場に進出できる企業は限られているのが現状。新京報によると、現在国内でインターネットテレビの営業ライセンスを保有するのは、中国国営テレビの中央電視台(CCTV)系の央視国際、上海電視台系の百視通、浙江・杭州電視台系の杭州華数、広東電視台系の南方伝媒の4社のみ。商機が期待できるとみて、国内外テレビメーカーは同市場参入に向けた動きを強めているが、現在の規定ではライセンスを持つ企業と提携しなければ、メーカーは同市場に参入できない状態にある。ただ今後はライセンス数の拡大が予想され、メーカー間の競争が激しくなるとの見方もある。

レノボはこれまでPCなどハード面の生産にとどまり、コンテンツ販売などのサービスは行っていなかったが、今回の提携を機に、米アップルのような経営モデルに転換していくことも予想される。