中国紙の証券時報は18日付で、シャープが第10世代液晶パネルの生産に向けた準備を、江蘇省南京市で進めているもようだと報じた。またシャープが申請していた第8世代工場建設については認可枠が限られており、サムスンなど韓国企業2社が有力であることから、第10世代に向かったとみられている。また、さらに高い技術力を要する第10世代を提案することで、認可取得に向けた強い意向を中国当局に示したとの見方もある。
報道によると、第10世代液晶パネル工場は、シャープが現在同市で準備を進めている第8世代パネル工場の合弁相手、南京中電熊猫液晶顕示科技と共同で建設する。同紙が両社の交渉に立ち合った関係者の話として報じたところによると、両社は2カ月ほど前から交渉を開始。交渉はほぼまとまったとしており、現在は事業化調査や環境評価などを作成している段階という。投資総額は360億元(約4,513億4,200万円)で、生産能力は月間8万枚規模としている。ただシャープ広報は、報道に対し「同様の事実はない」と否定している。
第10世代液晶パネル工場の建設については、南京市政府のウェブサイトが、既に合弁相手名義での環境評価に関する公告を掲載済み。同サイトによると、建設地は南京市仙林高科技産業園とされている。
ただ第10世代液晶パネルの生産は、現時点で世界最高の技術とされており、海外での工場建設を日本政府が認可しない可能性もある上、4,500億円規模の巨額な資金を投じることへの資金面での不安もあることから、業界関係者の中には、同プロジェクト自体を疑問視する声も出ているようだ。
シャープは昨年9月、南京市の電機メーカー、南京中電信息産業集団(CECパンダ)子会社である南京中電熊猫液晶顕示科技に、第6世代液晶パネル生産設備を売却すると発表。また中国最大の電子・情報企業グループである中国電子信息産業集団と(CEC)と、第8世代液晶パネルの合弁生産に向け、協議を進めていくことでも合意しており、現在は認可を申請中だ。
ただ、第8世代のパネル工場建設ではサムスン、LGのほか台湾の富士康科技集団(フォックスコン)なども認可申請を行っている。認可枠が限られている中、今月初めには相次ぎ、韓国2社が認可を取得する可能性が高いとも報じられていた。