欧州連合(EU)が関税を課している液晶モニターなどIT(情報技術)製品3品目について、台湾、日本、米国が課税対象から外すべきとして世界貿易機関(WTO)に提訴していた問題で、台日米が勝訴しそうだ。WTOは中間報告で台湾など3者を支持しており、最終報告が今月下旬にも出る。
2002年のWTO加盟以来、台湾が原告として貿易紛争で提訴し、勝訴するのは初めて。
経済部関係者によると、EUの関税除外により地場の液晶パネルメーカーは年間196億台湾元以上のコストが削減できる。台湾メーカーの競争力が大幅に上がりそうだ。
EUは19インチ以上でDVI端子を搭載した液晶モニターに14%、ハードディスクを内蔵したセットトップボックス(STB)に13.9%、複合機に6%、それぞれ関税を課していた。EUはこれらの製品を「消費者製品」とみなし、課税対象としてきた。
だが経済部関係者によれば、台日米の提訴を受けてEUは3製品への課税を停止しており、台湾メーカーは現在、関税を納めていない。EUはさらに、テレビやGPS(全地球測位システム)機能を搭載したスマートフォンへの課税も見合わせているという。
複数のアナリストによれば、ギリシャの財政危機などによるユーロ安の影響で、EU域内の消費者の購買力は大幅に落ち込んでいる。そのため、関税除外は台湾メーカーにとり、重要な意味を持つ。
台湾の液晶パネル大手の昨年の売上高は友達光電(AUO)が約3,595億元、旧奇美電子(CMO)が約2,901億元。両社の売上高に占めるEU市場の割合を3割とすると計約2,000億元規模となり、14%の関税がなくなればで年間約300億元の税金を納める必要がなくなるという。
友達の陳ゲン彬副董事長(ゲン=火へんに玄)はWTOの判断を歓迎、近く勝訴が正式に決まれば「液晶パネルメーカーの世界的な生産能力拡張計画や進出先選びで、さらに柔軟性が生まれる」と話した。WTOの決定による恩恵は、奇美よりも欧州向け比率が高い友達の方が大きいと言われる。
政府系シンクタンクの資訊工業策進会(III)のまとめでは、台湾液晶パネル産業の昨年の生産高は約1兆3,400億元と、前年比17%減少した。今年は8.2%増の1兆4,500億元と予想している。
今回の決定は、複合機の製造販売を手がける虹光精密工業やSTBを出荷している兆赫電子(ジンウェル)にとっても朗報だ。虹光は「台湾メーカーが日米の同業者とともに欧州市場へ進出する可能性も出てくる」と期待、兆赫は「顧客のコスト低減につながる。欧州販売比率の高い業者にとって恩恵は大きい」とみている。
WTOの紛争処理委員会は先月11日、「EUは液晶パネルや他のIT製品に課税するべきではない」と判断した。最終報告は23日にも出る見通し。中間報告に大きな変更が加えられることは少ないという。
EUが反訴しなければWTOによる判断が年内にも有効となる。その場合、今回の紛争は来年3月までに決着するようだ。
台日米の3者は08年8月、EUの措置は情報技術協定(ITA)違反としてWTOに提訴、受理されていた。12日付経済日報、タイペイ・タイムズなどが伝えた。