(有機EL時代の到来か? その流れを追う(3)より続く)

[8] 材料開発--出光興産

直径2メートル近い円筒形のかまに投入した科学薬品や溶剤,触媒などをゆっくりとかき混ぜ反応熱を制御しながら新しい物質が静かに合成されていく。
出光興産が静岡県御前崎市の遠州灘近くで四月に稼動した四階建ての工場には,こうしたかまを大小十以上設置されています。
製造するのは約30種類におよ有機EL材料。
様様な化学物質から目的の有機EL材料を合成するまで,多い時で20段階の反応を繰り返し完成まで平均で二ヶ月を要するとか。
合成した材料は真空中で摂氏数百度で加熱して気化させて精製。
出来上がるのは数十キログラムの紛体で「重量当りの単価は貴金属並み」とのこと。
有機ELテレビや照明は,電気を通すと自ら発光する「発光層」を,プラスとマイナスの電荷を効率よく発光層に移動させる二つの「輸送層」でサンドイッチ型にはさんでいるのが基本構造。
この「発光材料」や「輸送材」の量産で日本企業が世界を牽引しています。

「一日八時間の仕様で寿命は10年間」。ソニーの世界初の11型有機ELテレビを支える材料技術が,出光興産の「青色材料」です。鮮明なカラー画像を作り出すには,赤・緑・青の三原色の発光材料が必要ですが,特に電気を流した時のエネルギー変化が大きい青色材料の長寿命化がネックになっていました。
出光は1985年から多角経営の一環で研究に着手。製紙用などに使う蛍光材料が青色発光に適しているのを付きとめ世界で初めて実用化したのでした。

(有機EL(from LCD to OLED)時代の到来か? その流れを追う(5)に続く)