パナソニックが、マレーシアで液晶テレビを大幅に増産する。現地法人パナソニックAVCネットワークス・クアラルンプール・マレーシア(pavckm)の生産能力を年間約200万台に倍増。輸出基地と位置付け、東南アジア各国や豪州での拡販に全力をあげる。
 シンガポールのパナソニック・アジアパシフィックの広報担当者はこのほど、NNAの取材に対し、増産の詳細について「柔軟に拡大できる当社の組み立て工程の特徴を生かし、年内をめどに能力を順次2倍まで増やしていく」と説明した。
 立地は、スランゴール州シャアラム。pavckmの既存建屋を活用し、セル生産方式のセル数を増やすなどして増産に対応する。大規模な設備投資は行わない。
 また、グループ全体の製造能力を純粋に増やす方針で、pavckmでの大幅増産に伴ってマレーシア以外での生産を減らす考えはない。同担当者は、「液晶テレビは世界的に需要が伸びており、当社は他拠点も含めて増産傾向にある」と語った。
増産に必要な原材料の確保も問題ない。中核部材は液晶ディスプレー(LCD)モジュールだが、pavckm敷地内にある関係会社IPSアルファテクノロジ・マレーシアから調達できる体制を整備済み。IPSアルファテクノロジ・マレーシアは昨年2月、月間5万台の生産体制で操業。最終的に生産能力を年間300万台まで引き上げる計画で、「現在はその過程にある。パナソニックの計画に合わせて供給していく」(関係者)方針だ。現在の供給規模について具体的な数字は示さなかった。
 同社は、パナソニックとパナソニックと日立ディスプレイズの合弁会社IPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)傘下にある。
 パナソニックは08年4月、シャアラムを東南アジア向け液晶テレビの主力生産拠点として活用するとの考えを表明。今年1月には2010年度の経営戦略発表の中で、プラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)を含む薄型テレビの世界での販売台数を09年度見込みの1,550万台から約30%増となる2,000万台に引き上げる目標を明らかにした。