AUOによると、昆山工場の月産能力は第1段階でガラス基板投入ベースで6万枚、その後9万枚以上を目指す。
投資額30億米ドルのうち自己資金は12億米ドルで、3年分割で送金する。残りの18億米ドルは現地で融資を受ける。ある業界関係者は、中国政府がAUOの液晶パネルサプライチェーン整備を支援する意向のため、融資金利はゼロまたは低いものになるという見方を語った。
AUOの昆山投資は現段階では同社単独で行う計画だが、将来的には他の資本を導入する可能性もあるとしている。昆山では、中国の大手液晶パネルメーカー、龍飛光電が昨年9月に着工式を行っており、AUOが技術支援を行っているといううわさが 絶えない。昆山への投資決定を機に、両社の協力が本格化するという観測が出ている。
量産開始時期について、AUOは「11年末までに行うのが最も理想的」としている。業界関係者によると、7.5世代工場を建設した際は整地から工場棟の立ち上げ、設備の発注と搬入、試験生産と、量産開始まで約1年半の時間を要した。このため、11年末までに量産開始という目標は、既にあまり時間的余裕がない状況だ。HSBC証券の蘇穀祥アナリストは、「昆山工場の量産開始時期は、最も早くて12年」と予測している。
蘇アナリストは、中国での事業展開を順調に進める上で量産開始時期の選択は重要との見方だ。LGディスプレイ(LGD)は2005年末に42インチパネルの量産開始を宣言したものの、当時はまだ需要が追い付かず、その後の供給過剰を招いてしまった。この轍を踏まないようにすべきと警告している。
蘇アナリストはさらに、サプライチェーンの整備も中国で勝ち残る上での重要要素としている。この点、今月18日に群創光電(イノルックス・ディスプレイ)と奇美電子(CMO)、統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)の3社合併で誕生する新・奇美電子(チーメイ・イノルックス)、およびサムスン電子は、部品サプライチェーンが充実しているため純パネルメーカーよりも有利で、今後日系大手メーカーから多くの受注を期待できるとしている。