韓国のLGディスプレーは来年から液晶パネルの生産ラインの一部を転換し、テレビ用の大型有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの量産ラインを整備すると明らかにした。大型の有機ELパネルの本格量産は初めて。薄型テレビなどデジタル製品の表示部品が液晶から有機ELに替わる流れが加速しそうだ。
 有機ELパネルはサムスン電子やLGなど韓国勢が先行する。追う日本メーカーは東芝、日立製作所、ソニーのパネル事業統合会社、ジャパンディスプレイが2013年度にも中小型の量産開始を計画。大型はソニーとパナソニックが13年を目指して低コストの量産技術を共同開発している。



 既にLGはソウル北方の坡州(パジュ)の工場に約5千億ウォン(約350億円)を投じ、大型有機ELパネルの試験ラインを設置、近く量産を始める。来年から同工場の液晶パネルラインの入れ替えを開始。15年をメドに有機ELの主力設備に育てる。当面の追加投資額は約1兆ウォンを見込む。
 テレビの表示部品で主流の液晶パネルは薄型テレビ市場の成熟で利益率が悪化している。有機ELは技術的に難しいが画質が高いとされ、早期に投入すれば高収益を見込める。LGは既存ラインを活用して投資額を抑え、大型パネルの量産で収益力の回復を狙う。
 現在、有機ELパネルの中小型市場はサムスンがスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やデジタルカメラ向けに世界シェアの9割を握り独走する。
 LGグループのLG電子は今年中に有機ELパネルを搭載した55型の薄型テレビを発売する。LGディスプレーは当面、有機ELパネルをLG電子向けに出荷。日本などのテレビメーカーの参入状況を見定めて外販も増やす。LGディスプレーは液晶パネルの価格低迷が響いて、7四半期連続の営業赤字を計上している。