アルバックが9月に優先株を発行し、150億円を調達する。大型液晶パネル製造装置などの受注減と、希望退職など事業構造改革で2012年6月期は2期連続の最終赤字となった。自己資本比率は過去最低の14.8%まで低下しており、第三者割当増資で今期末に20%台まで戻す体裁を整えた。優先株が普通株に転換できるようになる3年後までに全額、現金償還を目指す。仮にすべて転換されると、議決権の希薄化率は最大で84%にも達する。希薄化を嫌う既存株主に配慮する苦肉の策で生み出した事実上の猶予期間は3年。この間に立て直しを狙う。
「信頼を早期に回復し、利益を確保したい」。7月に就任したばかりの小日向久治社長は8月14日の決算説明会で、こう力を込めた。前期は大型液晶テレビの設備投資停滞などで受注減に歯止めがかからず、連結売上高は前の期比15%減の1968億円。営業損益は63億円の赤字(前の期は18億円の黒字)に転落した。液晶装置の需要鈍化を見込み、新技術の開発や設備に積極投資したのが裏目に出て、固定費が重くのしかかる構造になっていた。 
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