交渉相手から部外者に一方的にリークされ、それに乗って日本の代表経済紙といわれている日本経済新聞にも煽られる記事を書かれてしまっています。
交渉の大前提になっているはずの機密管理、それがないがしろにされていること自体が普通のビジネス感覚では考えられません。
管理人の経験からも外国企業との交渉の際、意図的であるか意図的では無いかを問わず、交渉内容が外部に漏れた場合のペナルティ条項は事前に明確にされているはずです。
場合によっては相手に損害賠償請求もできるのです。特に欧米の企業相手に情報をリークさせてしまったら大変な事態に陥ります。
それが今回のシャープと 鴻海 の交渉、まるで芸能人の結婚うわさのリーク合戦のように当事者の一方から情報が出てくるのです。リークすることで交渉とは全く関係の無い外野席の感情を煽り、結果として交渉を有利に運ぼうとしているのです。
これに乗って日本経済新聞がご丁寧に情報整理といいながら 鴻海寄りの記事を書いてしまったのです。なにしろ鴻海からしかリークが無いのですから 鴻海にとっては自分たちの有利な記事に書いてもらうのは簡単なことです。  シャープ前会長の町田勝彦氏まで取り上げてシャープの肩を持ちつつ自分たちの交渉の正当性を主張しています。  台湾当局(台湾経済部投資審議委員会)まで仲間に巻き込んでいる可能性も高いですし。 


(1)私(郭氏)は一度たりともシャープに株価引き下げを求めていない。シャープ前会長の町田勝彦氏は「Foxconnに含み損を負わせたくない。9.98%の出資枠を維持しつつ、Foxconnは1~2年後に株価を改めて算定し、投資しても良い」と言ってくれた。

(2)(1~2年先の投資もあり得る状況となったが)私としては予定通り2013年3月末までに出資したい。

(3)その話があった会議は8月3日に東京で開催された。シャープ会長の片山幹雄氏など幹部20名ほどが参加したが、社長の奥田隆司氏だけは都合が付かず大阪にいたので、内容を把握していなかった。幹部達が大阪に戻ったのは夜10時を回っていたので奥田氏に連絡が行かなくても(Foxconnが同日17時48分に提出した公告をシャープが否定しても)仕方のないことだった。

(4)100名あまりの技術者による相互交流も始まるなど、Foxconnとシャープの関係はますます密接になっている。日本政府の官僚も5時間近い面談を通してFoxconnの技術力を評価してくれた。日本人と台湾人の協力には時間を要するが、相互補完は明確。共存共栄の関係を構築できる。


このペースにはまると、交渉の有利な側の言いたい放題・やりたい放題になります。
なんと日経新聞はシャープの下すべき決断まで示しています。(全くの部外者でありながら)

「明確な成果」としての有力な候補は、シャープがFoxconnの協力を得つつ、台湾に大規模なR&D(研究開発)兼購買センターを作るという決定を下すことです。直接、シャープやFoxconnの関係者から証言は得られていませんが、米ヒューレット・パッカード(HP)の実績から、筆者は理にかなったプロジェクトだと考えています。  
日経もここまで踏み込むのか、と感心していたらこの記事を書いているのは 大槻智洋(おおつき・ともひろ) とかいう一民間のコンサルティング会社代表。
それをあたかも日経の代表意見というような取り上げ方で示す。いったい何を目指しているのでしょう。
シャープの交渉に入る際の脇の甘さや相手のしたたかさを読み取れなかった鈍感さはあったとしても、部外者で芸能ゴシップ記事扱いでリーク記事を書くこともないでしょう。

シャープは今一度、相手に ペナルティ条項を持ち出して破談もありうると宣言すべきです。 鴻海の思惑通りに取得株価の値切りに応じて安売りすることは無いでしょう。 株価550円で669億円投資ならかなりの額であるもののもしそれが半額に値切られたら高々300億円、言いたい放題牛耳られるのに値する金額では全くありません。
毅然とした態度で臨むべきと思いますね、部外者ながら。