宏達国際電子(HTC)の周永明執行長は24日のオンライン決算説明会で、過去2四半期の業績低迷の原因について、主力市場の米国でアップルのスマートフォン「iPhone 4S」にシェアを奪われたことを挙げた。今年、米国での売上高は5割を割り込む見通しだ。こうした中、今月「HTC One」シリーズを初めて世界同時発売し、回復に向かう欧州市場、2年かけて足がかりを固めた中国を含む好調なアジア市場で、米国市場の落ち込みを取り戻す構えだ。25日付工商時報などが報じた。
周執行長は、昨年第4四半期と今年第1四半期の苦境は、AT&Tに続き、昨年年初にベライゾン、年末にスプリント・ネクステルがiPhone 4S販売に加わったことによってもたらされたと語った。
 
HTCはこれまで2年、売上高の5割を米国市場で生み出してきたものの、今年は5割に届かないと周執行長は述べた。その分、過去2年で販路、ブランド知名度、製品力を一定水準に引き上げた中国市場で成果が出ると強調した。

 周執行長はまた、Oneシリーズが欧米、台湾、中国、香港、シンガポールなどでユーザーや提携パートナーに好評で、第2四半期の業績は期待できると語った。

 HTCが発表した第1四半期の連結売上高は前期比34.3%減、前年同期比34.9%減の677億9,000万台湾元(約1,870億円)、粗利益率は前期比2.1ポイント下落、前年同期比4.3ポイント下落の25.03%、純利益は前期比59.2%減、前年同期比69.9%減の44億7,000万元だった。

 第2四半期は売上高を前期比55%増の1,050億元まで引き上げ、粗利益率は27%まで高める目標だ。出荷目標は発表していないが、前期比2割増の1,000万台と市場では予測されている。
 25日付電子時報によると、HTCはフェイスブックの交流サイト(SNS)やゲームなどのアプリが使いやすい新機種を第3四半期にも発売するもようで、フェイスブックと共同開発を始めた。HTCは11年上半期にもフェイスブック専用ボタンを備える「Salsa」、「ChaCha」を発売している。

 背景には、グーグルとサムスン電子の関係強化がある。HTCは2008年に世界で初めてグーグルのOS(基本ソフト)「アンドロイド」搭載スマートフォンを発表し、グーグルが10年に発売した自社ブランドスマートフォン「ネクサス・ワン」の受託生産も手掛けたが、部品業者によると、グーグルはネクサスの2、3機種目の提携パートナーにサムスン電子を選ぶようだ。サムスンのアンドロイド機種出荷台数は昨年、HTCを上回った。