中国網日本語版(チャイナネット)によると、シンガポールの「聯合早報」は10日付の社説で、日本の家電王国を代表する企業で「世界の液晶の父」と呼ばれるシャープが、自尊心を捨てて鴻海と提携を結んだと論じた。以下は同社説より。

 シャープにとっては苦渋の選択であるものの、戦略転換の意図もある。つまり「ガラパゴス化」からの脱却であり、アジア回帰を行い、成長するアジアの列車に乗り送れないようにするためだ。

 韓国の「朝鮮日報」東京特派員である車学峰氏は、日本を代表する家電メーカーのシャープに対し、台湾の鴻海が救いの手を差し伸べたと形容した。日本のIT産業は、国内においては堅調だが、世界的には早くからその影は薄い。

 根本的な要因として、日本の野心が大きすぎたことによって成長戦略を誤ったことが挙げられる。日本企業は「名誉ある孤立」の状態になり、多くの製品が日本市場だけで売れ、国外では売れない状態が続いた。  なぜ鴻海に身売りしたのか

 シャープが鴻海に身売りしたのには、少なくともいくつかの要因がある。まず日本の家電産業はすでに衰退期に入っており、日本のお家芸である「垂直統合」を行っても挽回することができなくなった。海外にさらなる活力を求め、大きな潜在市場を抱える企業と協力することこそ、起死回生の策なのだ。

かつて日本企業が大きな挫折を味わったとき、政府であれ民間であれ、一貫して国内企業同士の合併が行われた。政府官僚の指導によって民間企業の大規模な合併が行われることさえあった。新たに区分された勢力範囲と地盤は、大企業の集団的利益を守り、強固にしていくことになった。
  このような「垂直統合」方式は、淘汰される企業を救うことができたが、競争の原理を排除し、商品の自由選択を消費者から奪うものでもあった。日本のIT製品は、携帯からパソコンまで技術的には一流であったが、海外で通用するユニバーサルな機能がないことが致命傷となった。

  「アジアの活力」を吸収する
  次に、日本企業の海外進出が避けられない趨勢(すうせい)にあることが挙げられる。日本企業には豊かな技術の蓄積があるかも知れないが、経営方針はすでに遅れたものとなっている。加えて世界市場はめまぐるしく変化しており、異なる国家の資本や人材、技術を結び付け、ともに発展しなければならなくなっている。そうすることで、真に国際的な販売網を構築することができるし、真に国際的な製品を生み出すことができるのだ。アップルのiPhoneの成功が一例である。
  日本は鴻海グループを単なる台湾の一企業とはとらえていない。中国と台湾が両岸経済協力枠組協議(ECFA)を結び、双方が「大中華経済圏」構想に向けて動き出して以降、鴻海グループは中国に生産基地を増設するだけでなく、アップル社のiPhoneの部品生産も続けている。このような鴻海は、シャープから見れば8億ドルの投資をしてくれた大株主であるだけでなく、自社に新しい発展の道を開拓してくれる急先鋒に見えるはずだ。