シャープは10日、液晶パネルの主力工場である堺工場(大阪府)について、大日本印刷と凸版印刷の堺工場内の液晶カラーフィルター事業を統合すると発表した。

堺工場の運営子会社「シャープディスプレイプロダクト(SDP)」が新株を発行し、大日印と凸版が取得する方向で協議する。4月末をめどに最終契約を締結し、6月30日に統合する予定で、堺工場はシャープの連結子会社から外れる見通し。

シャープは先月、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループと資本業務提携を結び、ホンハイ会長の郭台銘(テリー・ゴウ)氏にSDPの持ち株の半数にあたる46.4%を譲渡することを決めた。これに加えてシャープは、大日印と凸版の堺工場内のカラーフィルター事業をSDPの傘下に収める対価として、SDPの新株を両社に割り当てる。ゴウ氏へのSDP株の譲渡期間は今年5月末から来年3月26日までとして幅があるが、一連の取引によってシャープのSDPの持ち株比率は40%未満になり連結子会社から外れることになる。

大阪市内で記者会見した大西徹夫常務はSDPのシャープとホンハイ側の出資比率は「同率になる。筆頭株主はない」と述べた。

同時にシャープは、2012年3月期の連結業績について、最終赤字が従来予想の2900億円から3800億円に拡大する見込みだと発表した。最終赤字額はリーマン・ショック後の09年3月期の1258億円を上回って過去最悪。売上高も従来の2兆5500億円から2兆4500億円に、営業損益も従来のゼロから400億円の赤字に、それぞれ下方修正した。12年3月期業績予想の下方修正は3度目となる。

売上高の下方修正の要因は、モバイル端末向けの中小型液晶の出荷の遅延のほかテレビ事業の不振も響いた。さらに、大型液晶パネルの在庫評価減など構造改革費用を追加計上することで、最終赤字額が膨らむ。

大西常務は下方修正について「見通しの甘さがあった」と述べた。一方で、最新技術「IGZO」を使ったタブレット端末用の中小型液晶パネルについては「3月末から量産出荷を開始した。4月以降収益に寄与していく」と述べた。