三菱ケミカルホールディングスは黒崎事業所(北九州市)で計画していた液晶パネル用の色素材の設備増強を中止した。昨夏以降、液晶テレビの販売低迷の影響を受け採算が悪化したため。今後、液晶パネルの需要が回復しても、色素材の販売は韓国や台湾向けが中心になるとみており、国内への設備投資は行わない方針だ。
増強予定だったのは「カラーレジスト」と呼ぶ素材。インクに顔料を拡散させた化学品で、液晶パネルのカラーフィルターの色のもとになる。
液晶テレビの大型化を受けて昨年までは販売量が順調に拡大していたため、主力の黒崎事業所に新ラインを建設し生産能力を倍増させる計画だった。2011年春に着工、今夏に稼働予定だったが「既に工事を中止した」(同社幹部)という。
三菱ケミはカラーレジストを韓国でも少量生産しており、今後の設備増強は韓国を優先して検討する。