石炭火力発電に大きく依存しているポーランドは今後、陸上風力発電などへの支援を削減する一方で、バイオガス、太陽光を利用した発電への助成を拡大する方針だ。このため政府は、2010年に10%に満たなかった再生可能エネルギーの利用率を20年までに15.5%に増やす法案を準備した。
 経済省のカスプルザク次官はこのほど、ロイター通信とのインタビューで、「われわれの目標は再生可能エネルギーの支援メカニズムを簡素化、最適化し改善することにある」と述べた。同国は現在、電力の90%以上を石炭火力で得ている。同国はまた、初の原子力発電所の建設も計画している。
 同次官によると、現在の予定では、再生可能エネルギーへの政府の年間支出は20年には約80億ズロチ(1900億円)にまで増加することになっている。今年は30億ズロチの予算が組まれている。
 政府は今後、バイオマス火力発電所、老朽化した水力発電所、それに陸上風力発電所への助成を削減し、その分、太陽光発電、バイオガス火力発電、海上風力発電、小規模水力発電に投資することになる。この計画については、陸上風力発電への支援削減で風力発電の成長が止まり、潜在的投資家に逃げられるのではないかとの懸念が生じているが、同次官はこれを否定し、「風力発電所建設コストは着実に低下しているため、この分野への投資意欲は非常に強い」と語った。
 同次官によれば、現在のポーランドの風力発電能力は陸上を中心に合計2000メガワット(MW)で、今後数年でさらに500MWが追加される可能性があるという。ドイツ最大の電力会社RWEは1月30日、15年までに5億ユーロを投じてポーランドに合計出力300MWの風力発電所を建設すると発表した。