最近、フレキシブルな有機ELディスプレイや電子ペーパーといったデバイスの作製技術として、従来の金属粒子ペーストを用いたスクリーン印刷ではなく、低粘度インクによるインクジェット技術やグラビア印刷、転写印刷などの先端印刷技術が注目されています。このうち、転写技術では、近年、ナノスケールの凹凸パターンを形成したスタンプを樹脂薄膜が塗布された基板に押し当て、樹脂薄膜に凹凸パターンを転写する「ナノインプリント技術」の開発が活発です。ナノインプリント技術はモールドの凹凸面からの離型性により10nm以下の微細配線の形成も可能な点が注目され、これまで光ディスクやLED向けでは量産への適用も進んでいます


また、プレス方法の調整により連続大面積生産用のロールtoロール技術への展開も期待されています。
これに対して、凸面でのスタンプ印刷を行う手法が「マイクロコンタクトプリンティング(μCP)技術」です。当初は自己組織化単分子膜のパターニング技術として登場し、その後自己組織化しないインクを用いてバイオチップやプリンテッドエレウトロニクスに応用され、その分解能の高さが注目されるようになりました。この他、シリコーンゴムなどのインクのりがあまり良くない材料でも版に用いることができる点や、版上でインクがある程度乾燥する点、版自体が柔らかいために凸凹の追随性が良好な点なども特徴です。最近では、1μm以下の回路パターンを直径150/200mm基板に形成することも可能となり、有機TFT回路の大面積印刷への採用が期待されています。