2011年8月31日、産業革新機構と東芝、日立製作所、ソニーは、3社の中小型ディスプレイ事業を統合した新会社「ジャパンディスプレイ」を設立する旨を発表した。新会社は急成長しているスマートデバイス向けに技術優位性を訴求した高精細ディスプレイを供給し、ディスプレイ産業での生き残りを図る。スマートフォン向けディスプレイは日本のLCDメーカーが注力してきたLTPSによる差別化が可能な製品であり、新会社は積極的にスマートフォンへの供給を行うと見込まれる。




スマートフォンを高機能OS搭載端末と仮定するならば、SymbianとBlackberry以外のOSを搭載するスマートフォンは、2011年時点では殆どがWVGA以上のディスプレイを搭載しており、スマートフォンの拡大と共に高精細ディスプレイの需要も拡大している。
ただし、先進国ではすでに携帯電話出荷の過半数がスマートフォンになっており、先進国におけるスマートフォン市場は今後数年内に飽和する可能性が高い。長期的にスマートフォン市場を拡大させるためには、途上国での販売量を増加させる必要があるが、そのためには現在のスマートフォンよりも安価な端末が必要となるため、搭載されるディスプレイは容易に生産できる精細度の低い製品が求められる。

すでに大手スマートフォンメーカーは、エントリーモデルのスマートフォンとして3”クラスのHVGAを搭載した製品を企画しており、今後も同様の製品のリリースが続く見込みである。

ジャパンディスプレイは、数年は先進国向けのスマートフォンに高精細ディスプレイを供給する可能性が高いものの、先進国でのスマートフォン需要が飽和した後にどの様な戦略を取るか、長期戦略に注目が集まっている。