2011年7月19日、Chunghwa Picture Tube(以下CPT)は、E Ink Holdings(以下E Ink)との新たな提携について発表を行った。
提携の内容は、E InkがCPTの社債を購入する形で資本提携を行うものであるが出資金額は15億台湾ドル程度であり、CPTの資本の一部を拠出するに留まる。
CPTは近年、大型LCDから中小型LCD分野への事業転換を進めているが、同社の中小型LCDは殆どが半完成品であり、モジュール生産は一部に留まっている。
同じく半完成品に注力するHannstar Displayが、中国モジュールメーカー向けの規格品に注力しているのに対して、同社は他のTFT-LCDメーカーからの生産委託が多く、その実態はファンドリーに近いものとなっている。
一方、E Inkは電子ペーパーのバックプレーンにCPTからTFTを採用している。また、E Inkはグループ内にFFS技術※の特許を持つHydis Technologies(以下Hydis)を抱えているが、3.5世代までしか生産ラインを持たないHydisはFFSパネルの生産能力が不足する状況となっている。
今後、E InkはCPTの大型生産ラインを利用して、電子ペーパーのバックプレーンのみならず、スマートフォンやタブレット端末向けFFSパネルの生産を行う可能性が高い。E Inkにとって今回のCPTへの資本注入は、安定的にCPTから半完成品を調達することで、グループのディスプレイ事業をより効率化する意図があったと考えられる。

※ Fringe Field Switching ;LCDモードの一つでVAモードなど垂直配向技術に対して水平配向であることから、全方位の視野角か広く、かつタッチパネルなどの加圧に強いと言われる。スマートフォン、タブレット端末などにおいて主流のLCDモードとなりつつある。