液晶パネル大手、友達光電(AUO)の彭双浪執行副総経理は14日、調整が長引いているパネル市場の下半期の見通しについて、「必ず需要が起きる」と強気の見方を示した。中国で国慶節(建国記念日、10月1日)連休、および来年の春節(旧正月)連休向けの液晶テレビの消費拡大に期待を託す。今年の中国液晶テレビ市場は15%成長の4,500万台規模を見込む。15日付工商時報などが報じた。
15日はディスプレイ業界の大型展示商談会、「台湾平面顕示器展」(ディスプレイ台湾)の開催に合わせて、「液晶パネル調達の女王」の異名を持つ中国電子視像行業協会(CVIA)の白為民副会長が来台する。彭副総経理は、中国カラーテレビ市場での中国ブランドメーカーのシェアについて、「2007年は3割にすぎなかったが、台湾パネルメーカーの支援によって現在7割まで高まった」と述べ、中国テレビブランドによる台湾業者からのパネル調達は双方にメリットを生んでいると指摘した。CVIAは今年、台湾業者からのパネル調達額で総額55億米ドルという目標数字を挙げているが、彭副総経理は「さらに高まることを期待する」と語った。
 中国液晶テレビ市場の動向については、以前は一級都市、および家電下郷政策による農村での需要によって恩恵を受けたが、今後は蘇州や昆山など三、四級都市での需要が大いに期待できると述べた。
 また、中国の消費者は最新製品を好む傾向があり、今年は発光ダイオード(LED)光源の液晶テレビの浸透率は50%を上回り、三次元(3D)製品の出荷比率は通年で15%に上るとの見通しを示した上で、AUOは両製品向けのパネルで業界他社をリードしているため、今年の中国パネル市場でのシェアは25?30%に上昇するとの予測を示した。
 一方、中国・龍飛光電に7億9,600万米ドルを出資し、同社を通じて昆山に第8.5世代液晶パネル工場を設置する計画については、12年第4四半期に量産を開始する当初計画に遅れが生じるとの見通しを明らかにした。その理由として、現在、龍飛光電への出資計画は台湾政府に申請中で、また中国側に7.5世代工場計画の8.5世代への変更申請が必要であり、さらに工場の建設に1年半以上の時間が必要なためと説明した。
 しかし彭副総経理は、大型液晶パネル市場は既に成熟期で、積極的に生産拡大を図る時代は過ぎたため、新規生産ラインの稼働延期はパネル産業全体の秩序にとっては好ましいとの指摘を行った。なお、台湾政府による認可は今年下半期を見込む。