東日本大震災によるハイテクセクターへの影響が懸念されるなか、一部のアナリストが米アップル(AAPL.O: 株価企業情報レポート)の投資判断を引き下げたことを受け、同社の好調な業績が鈍化する恐れがあるとの見方から、16日の米市場で同社株は4.5%の大幅安となった。

JMPセキュリティーズのアレックス・ガウナ氏は、アップルのアジアでの主要受託製造業者である台湾の鴻海精密工業(2317.TW: 株価企業情報レポート)の売り上げが大幅に鈍化しており、アップルの業績も鈍化する可能性があると指摘。アップルの投資判断を「マーケットアウトパフォーム」から「マーケットパフォーム」に引き下げた。

これを受けてアップル株は16日、4.5%急落。ほぼ9カ月ぶりの大幅下落となり、時価総額は約140億ドル減少した。前日にも2.3%下落しており、過去2日間では時価総額は220億ドル近く減少した。

アップル株は今週の急落前には、1年半にわたって倍に上昇していた。アップルは最近の株価下落についてコメントを拒否した。

ただ、トムソン・ロイター・エスティメーツによると、アップル株の投資判断を「セル」、「ホールド」、もしくは「ニュートラル」としているアナリストは54人中、JMPのガウナ氏を含めてわずか5人となっている。

オッペンハイマーのアナリスト、Yair Reiner氏は、鴻海精密工業の売上高へのアップルの寄与度は約5分の1程度であり、限定的と指摘。両社の業績の関連性を重要視しない姿勢を示した。

また、BTIGのアナリスト、ウォルター・ピシック氏は、3月11日に米国で発売された「iPad2」について、これまでのところ、アップルが好調な業績の伸びを維持するのに十分な需要が見られているとの見方を示した。

ただ、ハイテク製品のサプライチェーンの安定性が不透明なことから、投資家はアップル株に対して慎重な姿勢を取る可能性があると指摘するアナリストもいる。

日本はスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型パソコン(PC)のディスプレー向けガラスの主要供給元であり、世界の半導体製品の約5分の1を生産しているが、先週起きた大震災と津波の影響で、半導体から自動車部品まで多くの工場が閉鎖している。