スマートフォンのアプリケーションとして、ナビゲーション機能の標準搭載が進んでいる。2009年末にGoogleが発表した無料カーナビゲーションサービス「Google Maps Navigation」と2010年にNokiaが発表したOvi Map 3.0においてナビゲーションアプリが標準搭載したことが、スマートフォンでナビゲーション機能が普及するきっかけとなった。現在、無料ナビが利用可能な地域は、米国や欧州など一部の先進国に留まっているが、ナビゲーション用地図の整備が進むに伴い新興国においてもサービスが開始される予定である。

スマートフォンでのナビゲーション機能の搭載が進んだ要因として、スマートフォンのデータ定額サービスの世界的な普及と、タッチパネルの搭載によりスマートフォンのUIが専用端末に近づいた点によるものと考えられる。また、ナビゲーションアプリをダウンロードして利用する場合、内蔵メモリーの大容量化により2~4GB前後の地図データを保存可能になった点も大きく影響している。

Nokia以外のスマートフォンメーカーにおいても、今後ナビゲーション機能の搭載を進めていく方向にあり、既にSamsung ElectronicsはスイスのナビゲーションソフトベンダであるRoute 66と提携、自社OSであるBadaを採用した端末にナビゲーションアプリの標準搭載を進めていくことを発表している。HTCもTomTomと提携し、TomTomのナビゲーションアプリを標準搭載した端末を発表予定である。

これらのスマートフォン陣営の動きに対して、PNDメーカーはConnected PNDのような対抗製品を打ち出しているが、市場規模の維持には繋がっていない。すでに多くのPNDメーカーがスマートフォンへのナビゲーションアプリの供給を開始しており、緩やかではあるがPND主体のビジネスモデルから事業シフトを計画しているメーカーが多い。

スマートフォンへのナビゲーション機能の搭載により、目的地案内は基本機能となりつつある。従ってカーナビ、PNDメーカーにはAR※など目的地案内以外の付加価値を追求していく必要が高くなっている。また自動車メーカーはスマートフォンナビを自動車に接続して利用する車載機器を開発している。これら、新しいビジネスモデルの登場によって市場が活性化することが期待される。