• ハイエンドTVの販売開始でLCD TVの差別化ポイントが減少
  • 親環境/低消費電力化でLCD TVの輝度が低下、これに対しPDPは効率改善で輝度差が縮小
  • 一時期のLCDパネル供給不足でPDPが台頭、LCDに比べ低価格で消費者にアピール
  • 今後、50インチクラスの大型TVと3D TV市場で競争力の維持が可能に

 

調査会社Displaybankが、レポート「月間PDPモジュール出荷データ」の最新版をまとめ、2010年7月のPDPモジュール出荷枚数は前月比5%増の178万枚、金額(売上)ベースでは同4%増の5億2,000万ドルになったと発表した。
2010年に入り、PDPモジュールの出荷枚数は毎月増加傾向を維持している。

拡大が続くPDP TVの勢いの要因としては、大きく3つ挙げることができる。
まずは、CCFLバックライト・ユニット(BLU)搭載のLCD TVが、LED BLU搭載モデルや3D対応モデルなどの登場で、デザインや価格などPDPに対する差別化ポイントが減少したことである。
次に、親環境/低消費電力化の流れにより、平均的なLCD TVの輝度が550cd/m2から450cd/m2レベルに低下し、店頭でもLCD TVとPDP TVを見分けることができないほど輝度差が縮小。
さらに、2009年下期から2010年上期におけるLCDパネル供給不足の時期にPDPが台頭し、その後もPDPの価格は継続的に下落したことに対し、LCDパネルは相対的に価格下落幅が小さかったため、両者の価格差は徐々に拡大した。
こうしたモジュール価格の差がTVセットの価格に反映され、PDPとLCDの競合モデルの価格レベルが広がり、PDP TVは価格競争力をベースに強く消費者にアピールすることに成功したとみられる。

今後は、最近のTV市場の販売不振とLCDパネルの在庫レベル上昇により、LCDの値下がりも本格化し、下期はPDPへの価格下落の圧力も強くなる見通しである。
しかし、2010年に入り黒字化しているPDPは、LCDの値下げに対抗する余力があり、また、大型モジュールを減価償却が終了したラインで生産できるため、価格競争力を維持できるものと分析される。

この他、Displaybankでは、PDP TVは拡大している50インチクラスの市場とともに、2011年から本格的に3D TVに力を入れることで、大型サイズの3D TVとしてLCD TVに対して十分な競争力を確保することができると考えている。

 

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