日本における書籍配信ビジネスは、携帯電話向けのコミック配信などが主体であったが、ようやく人気作家の新作が、書籍発行と同時にE-Book配信が行なわれることになった。
配信されるのは、人気作家・京極夏彦の新作ミステリー小説「死ねばいいのに」である。発行元である講談社は、この試みを「E-Bookの需要を確かめる実験的な企画」と位置付けている。
同作品は、iTunes Storeで配信を開始、PC、iPhone、iPadなどで受信可能であり、受信料金は新刊書(1,785円)の約半額に設定されている。5月28日の発売から1週間で1万部以上の販売(ダウンロード)が行われ、さらに、正規の書籍販売も2週間で1万5,000部以上の売れ行きと相乗効果が出ている模様である。携帯電話版は1章につき105円(全5章)で、「電子文庫パブリ」などで配信する。利用端末機を問わず、第1章の試し読みは無料のようである。
講談社は、今後も歴史小説「親鸞」(五木寛之・著)などを、定期的にE-Book配信していくなど、サービスの強化を計画している。読者の反応を見ながら電子配信に適した価格や配信システムを研究して行なうなど、他社に一歩先行していると言えよう。
また、日本製のアニメ番組を、北米・アジアに提供している米アニメ番組配信のクロンチロール社に、日本の携帯電話向け配信大手の日本ビットウェイ(凸版印刷の子会社)が約7,000万円の出資を行なった。このように、E-Bookビジネスは試行錯誤をしながら新しいビジネスモデルを造り出しており、日本の出版ビジネスにも「新しい波」を引き起こす勢いを見せ始めている。