奇美電子(CMO)の王志超総経理は10日、中国の液晶テレビ市場の急成長を受けて、同市場を押さえれば台湾は“宿敵”韓国を再び追い抜くことができるとの見方を示した。同社は昨年、中国の液晶パネル市場でシェア5割を確保しており、今年は出荷枚数をさらに5割増やし首位を堅持したい考え。王総経理によると、世界金融危機の発生を受けて、もともと台湾メーカーに液晶パネルを発注していたLG電子やサムスン電子、シャープなどが、自前での調達に切り替えた。

そのため、自社ブランドテレビメーカーを持たない奇美電や友達光電(AUO)など台湾勢は大きな痛手を被った。世界シェアで台湾勢は韓国勢の後じんを拝している。しかし奇美電は中国で地場の液晶テレビメーカーとの連携を強め、昨年は約1,200万枚を出荷、シェア52%を確保した。今年は5割増を目指す。中国の液晶テレビ市場は早ければ今年、遅くとも来年には米国を抜き、「世界最大規模に成長する見通し」(王総経理)。そのため「新奇美電子」も友達も、同市場を押さえれば再び韓国勢を追い抜けるとしている。
液晶パネル市場は業界のローシーズンを迎えているが、春節(旧正月)明けも堅調な需要があるようだ。ディスプレイサーチ大中華区の謝勤益副総裁によると、先ごろの高雄県での地震で被害を受けた一部生産ラインを除き、第4世代以上のラインは台湾勢、韓国勢ともにほぼフル稼働状態にある。特に中小型の需要が旺盛という。