液晶パネル大手、奇美電子(CMO)の王志超総経理は11日、第8.5世代工場での生産を、この3月に始めたことを明らかにした。同社はこれにより中国に7.5世代工場を設置する資格を得たことになる。3月18日の群創光電(イノルックス・ディスプレイ)、統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)との合併後、具体的な検討に入る方針だ。奇美電が今回スケジュールを前倒しして稼働させた8.5世代新工場は、本格的な量産は4月からで、年末までには月間のガラス基板投入枚数が2万4,000枚に達する見通しだ。
奇美電は、中国の液晶テレビ用パネル市場でトップシェアを握り、台湾のパネルメーカーの中では最も早い時期から中国での前工程ライン設置の必要性を表明してきた。ただ、中国での前行程工場設置の認可第1号はライバルで現在最大手の友達光電(AUO)に譲る見通しだ。台湾政府が先月、「台湾工場が1世代以上リードすること」など条件付きで液晶パネル前工程の中国投資開放を発表したことを受け、AUOは既に中国での7.5世代工場設置を董事会で正式決定している。
奇美電の動向も業界の注目を集めているが、現在は合併に向けた関連作業に忙殺されている。王総経理は「正式に合併した後、最終的に新『奇美電(チーメイ・イノルックス)』の段行建執行長(CEO)が決定する」と語った。なお、オフシーズンに当たる第2四半期のパネル市況について王総経理は、「4~5月の需要動向を見る必要があるが、おそらく前期比横ばいか小幅なマイナスにとどまる」との楽観見通しを示した。ガラス基板の供給量は現在、改善には向かっているものの依然約10%の不足が続いており、欧米市場でのパネル需要が好調であることから、3月前半のパネル価格は上昇傾向を維持し、第2四半期以降も大きく下落することはないとの見方だ。
一方、AUOの向富棋・全球営運執行副総経理も、同社の現在のガラス基板不足率を「5%以上」とし、これが業界平均値との見方を示した。業界の今後の景気動向については、春節(旧正月)シーズンの中国での液晶テレビ販売は期待されたほどの売れ行きを見せなかったものの、欧米市場を含め現在パネルの在庫水準はかなり低下しており、まずまずの需要が維持されているとして、「少なくとも4月ごろまでは見通しが明るい」と語った。