高雄県で4日発生した地震で、台湾南部に工場を持つ半導体や液晶パネル関連企業への影響が表面化してきた。南部科学工業園区(南科)に入居するファウンドリー(半導体の受託製造企業)大手2社や液晶パネルメーカーの生産に影響が出て、損失額は十数億台湾元に上ると推計されている。
南科は1999年の台湾大地震による震度が4だったが、4日の地震では震度5と過去最大の揺れを観測した。入居する台湾積体電路製造(TSMC)は1日半、聯華電子(UMC)は1日、ウエハー製造工程が通常通りに稼働できなかった。生産能力とウエハーの単価から推計すると、機会喪失による売り上げ減少額は2社合わせて5億6,000万元を超えたようだ。出荷の遅れが懸念されることから、IC設計業者での品不足が拡大する恐れがある。
TSMCの12インチウエハー工場「Fab14」の先端製造プロセスの顧客には米エヌビディアやAMD、クアルコムなどがおり、エヌビディアはかねてから供給不足による出荷の遅れで1億~1億5,000万米ドルの機会喪失を指摘していた。今回の生産活動の停滞で、不足がさらに拡大すると業界関係者はみている。UMCは不足分をシンガポール工場から補う。
南科の奇美電子(CMO)の工場は、4日午前に一時的な影響が出た。生産ラインは数時間後に正常に戻ったが、メンテナンスも含め2日分の生産に影響が出た。外資系証券アナリストは第7.5世代工場では1週間分の生産に影響が出ており、月間出荷量は6~7%減るとみている。
瀚宇彩晶(ハンスター)傘下の和キン光電(キンは金3つ)やバックライトモジュール(BLM)製造の大億科技(ケンモス)は地震による大きな影響はなかったと相次ぎ公表している。
ガラス基板メーカーでは、米コーニングが台南工場の「大部分の製造工程は正常に稼働している」と表明した。日系メーカーには大きな影響はなかったと伝えられている。
液晶パネル業者によると、パネルは第2四半期に7%の供給過剰に陥ると予想されていたが、地震による供給減で過剰率は5%以内にとどまりそうとの見方がある。4~5月は大型パネルの価格が下落するともみられていたため、価格の下げ幅が穏やかになるとする向きもある。
また中華電信の海底ケーブルが損傷し、香港やシンガポール、中国などへの通信に影響が出た。ただ一般ユーザーや台湾内のインターネット接続への影響は限定的。台湾と海外を結ぶ株取引も正常に行われている。復旧には1~2カ月かかるとみられている。5日付経済日報、電子時報、6日付蘋果日報、工商時報が伝えた。