2009年下期の偏光板市場は、パネル市況の回復と偏光板の主要品目の価格上昇により好調が続いた。第3四半期の実績は出荷面積が前期比17%増の6,657万m2、金額ベースでは約20億ドルとなった。
ディスプレイおよび太陽光発電産業に関する専門調査会社Displaybank(CEO:PeterKwon、www.displaybank.com)では、2009年第4四半期の偏光板市場は出荷面積が前期比5%増の6,966万m2、金額ベースでは21億ドル規模に拡大したと見ている。
2009年第3四半期における大型TFT-LCD用偏光板市場で、韓国LG Chemはシェア29.7%で4四半期連続でトップをキープ、これに日東電工が27.8%で続いた。
第4四半期にはLG Chemのシェアが30%を超えると見られるが、第3四半期に全偏光板市場の55%を占めたLCD TV用偏光板では、日東電工が32%でトップに返り咲き、LG Chmeは30%で2位となった。
2009年第3四半期における大型TFT-LCD用偏光板市場のメーカーシェアは、モニター用ではLG Chemがシェア40%以上でトップ、これに日東電工が18%、ACE Digitechが14%で続いた。また、台湾のChi Mei Materials Technology(CMMT)とDaxon Technologyがシェアを急拡大し、前者が10%、後者が7%となった。
ノートPC用では、住友化学がシェア41%でトップ、日東電工が31%で2位となった。この両社の合計シェアは70%以上に達した。ACE DigitechはSamsungの需要の約50%を供給していることから、世界シェア13%で3位に入った。
TV用では、日東電工がシェア32%でトップに復帰、これにLG Chemが30%、住友化学が26%で続き、これら3社の合計シェアは90%に達した。このうちLG Chemは、SamsungとIPSアルファテクノロジに供給を開始、第4四半期からはシャープにも出荷を開始する予定である。また、ACE DegitechがTV用偏光板の供給をスタート、これにともない第3ラインの稼動を予定しており、継続的なシェア拡大が予想される。
しかし、日本メーカーは、パネルとセット市場の回復で市況が好転している中、台湾を巡る韓国メーカーとの競合において、円高などの影響で競争力を失いつつある。
2009年下期には、偏光板市場で異例な事態が発生した。メーカー主導で価格が上昇したのである。
こうした価格上昇は当分間続くとみられ、偏光板市場の拡大は2010年も続く見通しだ。