液晶パネルメーカー、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)、奇美電子(CMO)、統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)は6日、臨時株主総会を同時に開催し、3社の合併案に株主の承認を獲得した。3社は当初4月30日に予定していた合併基準日を3月1日に前倒しすることで協議を進めており、注目を
集める新・奇美電子(英文名・Chimei Innolux Corporation)の誕生は約2カ月早まる見通しだ。7日付工商時報が報じた。
3社は前倒しでの合併完了を目指し、「新奇美」内部の統合作業を急ぐ構えだ。また、各社は合併基準日の1カ月前に上場を中止する必要があるため、奇美電は2月に入ってすぐに上場を取り下げる見通しだ。
企業合併には通常、人員整理を伴うことが多いが、群創の段行建董事長は6日、「『新奇美』ではリストラは行わない」と強調した。その上で、「経営や業績を考慮して人員調整を行うことは企業の常で、合併とは関係ない」と語り、世界で約10万人に膨れ上がる「新奇美」の人的リソース統合には経営者の手腕が問われるとの見方を示した。

一方、群創のパネル生産能力について段董事長は、第6世代工場は現在の月産4万枚から今年末までに10万5,000枚まで引き上げるとの方針を示した。中国での後工程モジュール(LCM)工場については、奇美電および統宝光電が同工場を設置する華南(浙江省嘉興市嘉善県)と華東地区(福建省アモイ市)での新設計画を見合わせ、同2社がラインを保有しない内陸部(重慶市)での新工場設置はスケジュール通り計画を進める。

一方、奇美電の王志超総経理によると、昨年第4四半期の同社の生産ライン稼働率は90%以上を維持した。さらに今年第1四半期は、米国でアメリカンフットボールのスーパーボウル開催(2月1日)や、中国市場の春節(旧正月)連休が液晶モニターや液晶テレビ向けパネルの需要を喚起すると予想され、稼働率は前期を上回ると予想している。同社では春節期間中もラインを止めず、フル稼働させる。
陳世賢・奇美電財務長(CFO)も、「IT(情報技術)製品用パネルの需要には明らかな回復が見られ、テレビ向けも不安要因は見当たらない」と指摘する。
IT用パネルは需要に陰りが見えた昨年9月から数カ月が経過して川下の在庫水準が低下しており、価格は近いうちに反発すると予測した。
また統宝光電の董事長でもあり、パネル業界の見通しの正確さに定評のある、ノートパソコン大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は6日、現在ノートPC用パネルは14インチおよび15インチ型の需給が逼迫(ひっぱく)しており、3月か4月には供給不足に陥るとの見方を示した。またテレビ向けは既に不足しており、パネル景気は今年、1年を通じて好調となると予測を語った。