来年は部品・素材市場をめぐり、日本と韓国の企業が激しい世界シェア争いを繰り広げる見通しだ。日本は現在、2次電池や積層セラミックコンデンサー(MLCC)、液晶ディスプレー(LCD)の偏光板などで優位に立っているが、韓国企業が追撃に拍車をかけている。いずれも日本が独占してきた製品だけにシェア争いの行方は予断を許さない状態となっている。
2次電池の世界シェアを見ると、2000年は三洋電機(本社・大阪府)やソニー(本社・東京都港区)など日本企業が1~5位を独占していた。だが、今年第2四半期(4~6月)はサムスンSDIが18.6%、LG化学が13.4%とソニー(11.8%)を抑えて2、3位に浮上した。
この結果、2000~08年の8年間で日本のシェアが約30ポイント下落した一方、韓国勢は20ポイント近く上昇。韓国勢の追い上げが鮮明なものとなっている。
特に、自動車向け電池市場の規模が15年までには260億米ドル(約2兆3,000億円)に上る見通しであるとから、さらにシェアを広げると期待されている。韓国電気研究院の金ヒョンギ・2次電池センター長は「小型電池は日本企業に遅れて参入したが、自動車に用いる大型電池は参入時期もほぼ同じで、製造技術のレベルも差がない」と話している。
このほか、日本企業がリードしている2次電池の4大材料である陽極材、陰極材、電解質、分離膜の素材分野でも市場が拡大していることから韓国企業の参入が相次いでいる。
SKエネルギーは工場増設が完了する来年上半期(1~6月)には、分離膜の生産規模が世界トップの旭化成(本社・大阪市)と並ぶ1億平方メートルに拡大する見通し。
LG化学はそれまで日本企業などから全量を輸入していた両極材や電解質の一部の生産を2~3年前から開始した。業界関係者は「2次電池の基幹素材の50~60%は日本から輸入しているが、5年以内に国産化率は70~80%に達する」とみている。
MLCC市場では、サムスン電機が1990年代初めに開発を始めたが、市場を独占していた日本勢を前にシェア拡大は難しかった。このため同社は、新製品の発売時期をライバル企業より6カ月~1年早めた上、生産性の向上を図ることで価格を引き下げる戦略に乗り出した。
この戦略が奏功し、07年の世界シェアは10%台と日本のTDK(本社・東京都中央区)や太陽誘電(本社・東京都台東区)を抑え2位に浮上。今年は20%台に乗せる見通しだ。
このほか、LCD用偏光板市場ではLG化学が今年世界トップに浮上。市場調査会社のディスプレーバンクによると、今年第2四半期のLGのシェアは29%で、日東電工(本社・大阪市、27%)や住友化学(本社・東京都中央区、20%)を抑えてトップだった。
一方、部品・素材市場は競争が激しいことから日本企業の買収を視野に入れるべきとの主張も出てきている。
ソウル大学経済学部の李グン教授は「韓国に投資する日本企業に対する戦略的な投資や日本企業の買収を通して、技術力を確保する案も積極的に模索していく必要がある」と指摘している。