2009年の中国の液晶テレビ市場は,対前年比92%増の2300万台に達しそうだ。そのうち,中国ブランドの市場シェアは,対前年比17.8%増の73.3%になる見込みである。中国ブランド品の増加は,2009年に内需刺激策として制定された経済政策に寄るところが大きい。
2009年末に開催された「中央経済工作会議(Central Economic Work Conference)」では,2010年の経済政策について前進があった。農村部の家電製品への助成プログラムにおける価格上限を大幅に引き上げる。さらに,家電製品の買い替え政策が,現在の試験地域で引き続き実施されるほか,それ以外の都市へも拡張されることになった。
政策の継続と改善によって,液晶テレビの市場規模は,農村部と都市部の双方で拡大するだろう。GfKでは,2010年の液晶テレビの販売台数は,対前年比37%増の3150万台に達すると予想している。
2009年の第1~第3四半期で,42型以下の液晶パネルの価格は毎月上昇してきた。2009年8月には,42型以下の液晶パネルの価格が,2009年の最高値に到達した。しかし,中国ブランドは液晶テレビの価格を引き上げなかったため,利益低下に見舞われてしまった。その後,液晶パネルの生産能力の増加によって,2009年9月から液晶パネルの価格が低下したことで,利益低下のプレッシャーから開放されている。
2010年には,大型のパネルの生産が始まる。液晶パネルは供給過剰になり,液晶パネルの価格は引き続き低下する。在庫のプレッシャーがない中国ブランド品は,大幅に価格が低下するだろう。この結果,中国ブランドの液晶テレビは継続的に成長する。GfKでは,2010年の中国ブランドと海外ブランドの台数シェアが7対3を維持すると予測している。
2009年は,農村部の家電製品の助成プログラムによって,中小型液晶テレビの販売が急速に増加した。37型以下の液晶テレビの台数シェアは,対前年比5.5%増の61.1%に達した。
農村部の家電製品の助成プログラムの価格上限が大幅に引き上げられることで,大型液晶テレビの販売が農村部において増加する。一方で,都市部での大型液晶テレビの需要は毎年増加している。大型液晶テレビの全体の市場シェアは,2010年に3.1ポイント増加して42%になるだろう。