大手液晶パネル・メーカーであるシャープ,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.,台湾AU Optronics Corp.(AUO)の3社の投資戦略には,
各社それぞれの中での液晶事業の目的,資金調達の手法,範としている産業の違いなど,各社の液晶事業におけるビジネス・モデルを反映した違いがある。シャープは液晶事業を自社のテレビ事業の競争力を高めるための手段とすることを最優先にしており,自社のテレビ事業の規模拡大に合わせた範囲での設備投資を行なっていくと思われる。
 これに対して,Samsungは,半導体事業での成功体験をベースとし,液晶事業に2010年までに2兆円という他社を圧倒する規模の投資を計画しているが,売上高に対する設備投資の比率は2003年まで約10%を維持している。
 一方,AUOは設備投資と,それを実行するための収益源を液晶事業に頼り,銀行からの長期融資を中心とした資金調達をしている。同社は,工場を高い稼働率で稼働できる品種を製造していくことで利益を出すファウンドリ・ビジネスを範としている。
 日経BP社 FPD研究所(http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/fpd/)が2004年12月16日に開催するするパネル・メーカー戦略研究報告会「液晶パネル・メーカーの事業戦略研究 2005」では,大手パネル・メーカー3社の設備投資金額の実態とその根幹をなす考え方を,各社の経営トップの発言やアニュアル・レポートをもとに分析する。投資戦略の見直しが2005年に実施される可能性が高いメーカーについても言及する。